里帰りした群馬の実家を拠点に、北アルプスの白馬三山「白馬岳」「杓子岳」「白馬槍ヶ岳」を縦走登山してきました。
計画は以下の通りです。今回使用した登山地図はこちらです。
8/13(土曜) 車中泊
8/14(日曜) 猿倉駐車場<1,200m>→白馬尻小屋→大雪渓→村営頂上小屋(テント泊)↔白馬山荘↔白馬岳<2,832m>
8/15(月曜) 村営頂上小屋(テント泊)→杓子岳<2,812m>→白馬槍ヶ岳<2,903m>→白馬鑓温泉<2,100m> →猿倉駐車場
【8/13(土曜)】 天候は晴れ
8/13の昼過ぎに群馬の実家を発ち、標高1,200mの猿倉駐車場に18:00に到着して車中泊。すでに沢山の車で一杯でした。
空いてて良かった!すぐ傍の山小屋 猿倉荘で登山届を提出して、山岳地図で明日からのコースを再確認。
満点の星空の下、明日からの登山への期待を胸に早々に眠りにつく。
【8/14(日曜)】
3:30 起床。車中で朝食を採り、荷物をパッキング。トイレを猿倉荘にて済ます。
4:12 支度を整えて猿倉駐車場をいざ出発!明日から天候が下り坂で、昼過ぎから「雨」マークの予報にどうしたものか、と悩む。
1泊2日のテント泊予定で準備してきたものの、初めての山上でのテント泊が雨だとさすがに気持ちも凹む。
思い切って宿泊道具を車に置いてたまま日帰りに挑戦するかどうか、大いに迷ったが、無理、無茶は禁物と自分に言い聞かせる。
予定通りに1泊2日の行程とすることにしたが、初日の今日になるべく前へ進むことにして、当初予定の宿泊地よりも先の。。。に変更することに決める。明日は雨が本格的に降り出す前に下山を開始して、猿倉駐車場まで戻ってこようという算段でいざスタート!
しかし、テント泊の装備が詰まった10kg超の45Lザックを背負いながらの登山は初挑戦。
ズシリとした重みを背中に感じながら歩くが、歩幅がこうも狭まるものか、といつもの日帰り登山とは随分と勝手が違うことに戸惑う。
4:25 鑓温泉方面への分岐を通過。明日の天候が雨予報ということもあろうが、湿度が高く汗がじっとりとシャツを濡らす。
4:45 山を紅く染める日の出。気温の上昇と相まって身体も温まり、一気に汗が噴き出す。
5:00 樹林帯を抜けると、途端に視界が開けてくる。谷間を吹き抜ける涼風が心地よい。涼風を浴びながら、ほどなく白馬尻小屋へ到着。
山小屋スタッフに明日の天候を確認すると、やはり「雨」予報とのこと。予定通りに、今日は先を急ぐことに腹を決める。
5:11 明日の雨天をどうするか悩みつつ山小屋出発。大雪渓まで15分との表示を見て、ゴロゴロ転がる石や雪交じりのフワフワした湿り土を踏みしめながら、高度を上げていく。息があがる中、約1時間も歩いてようやく大雪渓の末端にたどり着く。
6:12 6本爪アイゼンを装着して、いよいよ大雪渓へ。数名のソロ登山者とこれからの行程と明日の雨天予報について会話。いろいろ逡巡した結果、予定を変更して、長い距離を歩くことになるが、日帰りで猿倉まで戻ってくることにする。
意を決して、いざ大雪渓へ。ザクザクと爪で踏み込みながら涼しい雪渓を登っていくと、ほどなく幅1m程のクレバスが口を開けている。
覗き見ると、クレバスの下は大きくハングオーバーにえぐれていて、今にも崩れ落ちそうである。
正直、腰が引けたが、そろりそろりと跨いでクリア。
ホッと胸を撫で下ろして、先を急ぐと、30分もしないうちに地肌がのぞく登山道へ辿り着けた。
折角、重いアイゼンを用意して装着したにもかかわらず、やや拍子抜け。
聞くと、今年の大雪渓は名ばかりで、小雪渓と呼ぶほどに小さな雪渓になっているらしい。これも温暖化による影響だろうか。
6:40 登山道を一歩一歩、上へ上へと足を持ち上げながらひたすら進む。
ここからがキツい登りで、高度の影響か呼吸も息苦しく感じる中、登り続けること2時間あまり。
急勾配に「1,2,3,4,5・・・」と呟きながら10歩進んでは立ち止まり呼吸を整えながらの歩行を強いられる。
遂に、遥か先に「頂上小屋」が見えてきて安堵。道の両脇の斜面一杯に咲き誇る色とりどりのお花畑の歓迎を受ける。
気持ちを奮い立たせながら足を一歩一歩前へ上へと動かす。
8:55 頂上小屋に到着。稜線へ出ると右に「白馬岳」、左に「杓子岳」そしてその先に「白馬槍が岳」を望む。
そして遠方には勇ましい姿の「剣岳」の頭を確認。これまでの苦労も吹き飛ぶ素晴らしい眺めをしばし堪能する。
周囲は風の音だけしか聞こえない天空の世界にひととき浸る。
さて、日帰り登山を考えると、先はまだまだ長い。
ここで残念ではあるが、日没までの残り時間と体力を考慮して「白馬岳」登頂はパスして、次回へのお楽しみとすることに決定。
先を急ぎ、「杓子岳」へ向かうことを決断する。結果的に、この判断が後々奏功することとなった。
前方には「杓子岳」そしてその向こう側に「白馬槍ヶ岳」を望み、はるか先には「剣岳」や北アルプス連峰が雲間から頭を覗かせている。
登ってきた甲斐があったな、と思わず顔もほころぶ。
真っ青な空に真っ白な線状の飛行機雲が幾筋も浮かぶ。壮観な眺めとそのスケールに圧倒されながら縦走路を進む。
所々に散在する草地には可憐な高山植物が夏を惜しむかのように咲き誇る。女王コマクサの株にも幾つか出会えた。
「杓子岳」への登頂コース上には大きな岩を粉砕したようなガレ石がゴロゴロ転がり歩きにくい。
草木はなく、一面に石だけが転がる荒涼とした世界。まるで砕石場の岩で出来た様ななんだか不思議な山である。
10:30 急こう配をゼーハー息をきらしながら登り切ると山の片側をスパッと切り落としたかのような危ういピークに到着。
今にも崩れてしまいそうな頂上なので、何だか腰も落ち着かずそそくさと下り始める。
次の目的地は「白馬槍が岳」。 振り返る度に小さくなっていく「白馬岳」や大雪渓の姿を名残惜しむ。
11:15 途中の難所「杓子岳コル」を通過。急こう配を這いつくばる様に手足4本を使いながら丁寧に進む。
11:48 「白馬槍ヶ岳」登頂。すっかり遠方になった「白馬岳」をバックに記念撮影。
さあ、ここから先は一気に白馬鑓温泉まで下る。
猿倉駐車場までの行程を考えると時間の猶予はあまりないが、疲労感と相談しながらとにかく下山を開始。
12:20 槍温泉への分岐点を通過。風も強くなり、雷雲らしきモクモクとした雲が山を覆い始めてきたので気が急く。
ここからは九十九折れの下山道を一気に下っていく。
左右には色とりどりの花が咲き誇る。山肌の白い岩や砂と低木の緑、そして鮮やかな空の青のコントラストが実に美しい。
途中、山ガール3人組に雷鳥のつがいが仲良く餌をついばんでいるところを教えてもらう。
14:10 ついに「槍温泉」到着。ここから猿倉駐車場までは残り4時間程の距離であるが、もう足が残ってなく売り切れ状態。
ここまで10kg超えのザックを背負いながら約10時間歩き続けてきた体力もいよいよ底を尽いた。
安全を第一に、潔くここでテント泊することを決断する。
雨で濡れたテントをザックに仕舞い込み背負って帰ることを避けたいと思ったが、もはや脚が言うことを聞かないので致し方ない。
そうと決まればまずは寝床の確保である。
テント場へ向かうと、既に20超のカラフルなテントが所狭しと張られていて、もはや空いている場所が見つかりそうもない。
途方に暮れていると、ひとりのテント泊者が「こっちに穴場があるぞ」と空いている場所を教えてくれた。
そこは傾斜地で転げ落ちた先には谷底に雪渓のクレバスが大きな口を開けてはいるものの、何とか安全確保できそうな場所である。
兎にも角にも、身体を休めたい一心で、ザックを降ろし急ぎテントを張る。
15:00 まだ陽も高い。まずは槍温泉へ浸かることにする。正にかけ捨ての様な毎分760Lの圧倒的な湯量に驚く。
遥かに続く雲海と深い山並みを眺めながら今日の疲れを癒す。肩や脚をさすりながら、かれこれ1時間も入浴した。
男性客が10名以上、皆わいわいと満足感に浸る表情は晴れ晴れとしている。
我ながら良くぞここまで無事にたどり着いた、と今日一日の労をねぎらった。
17:00 晩飯はフリーズドライ食。明日の雨を考えて、早々に横になると、すぐさま泥のように深い眠りについた。
【8/15(月曜)】 天候は小雨時々曇り
4:00 起床。雨は落ちていない。ラッキー!まずは朝風呂へ。雲海の向こう側が白み始めてくる。ただただ美しく息をのむ。
6:00 朝食を軽く済ませて、テントを畳んでいざ下山。一路、猿倉駐車場を目指す。少し雨が落ちてきた。脚の調子も良い。
6:52 木のハシゴ橋がかかる杓子沢を通過。
相変わらず道端には美しい花々がこれでもかと続く。
幸いに雨脚も弱い。今日は標準タイムでも4時間程の行程なので先を急ぐことはない。
去りゆく白馬を惜しみながら、ゆっくりゆっくりと花々を愛でながら下る。
9:00 遂に猿倉荘に到着。体力も回復していたので、快調な足取りで進めたお陰で予定の時間よりも1時間早い3時間の行程だった。
2日間で計14時間の歩行。高低差1,800mを10kgのザックを背負って登り降りすることの大変さが身に沁みた山行となった。
楽しく安全な登山を楽しむには、兎にも角にも体力が不可欠であるとあらためて実感。
雪渓歩きや北アルプス縦走、天空の秘湯「白馬鑓温泉」、ライチョウに百花繚乱の山草の花々に心も身体も大いに踊る2日間でした。
次回こそは「白馬岳」へ行くぞ!
<実績>
8/13(土曜) 車中泊
8/14(日曜) 猿倉駐車場→白馬尻小屋→大雪渓→村営頂上小屋↔杓子岳→白馬槍ヶ岳→白馬鑓温泉(テント泊) (行動10時間)
8/15(月曜) 白馬鑓温泉(テント泊)→猿倉駐車場 (行動3時間)
コメントをお書きください
ならしのきなこ (日曜日, 11 9月 2016 11:06)
すごいですね!まずまずのお天気に恵まれ無事の帰還、おめでとうございます。でも
お一人で素晴らしいです。日帰り登山は今後問題ないですね!
Yamaguchi (火曜日, 13 9月 2016)
きなこさん、コメントありがとうございます。
これからも、のんびりとマイペースで山登りを楽しんでいきたいと思っています。